親子で知ろう プログラミングとは何か 何ができるのか
これまでプログラミングとはあまり縁がなかったという人でも、小学校や高校でプログラミングが必修化されたというニュースを見聞きしたことがあるでしょう。
コンピューターの果たす役割が日に日に大きくなるなか「コンピューターを動かす」「コンピューターを使ってモノを動かす」プログラミングの重要性も増しています。
世界的にプログラマーをはじめとしたIT人材が不足しています。また、プログラマーに限らず、プログラミングの基礎的な知識やプログラミング的思考を持つことで、一見無関係に思える職種であっても、仕事の幅が広がるなどのメリットを得られる可能性があります。
子どもには早いうちからプログラミングに親しんでもらい、これからの時代に適応できる人として育ってほしい、保護者がそう考えるのは当然です。
この記事では、「保護者と子どもでプログラミングとは何かを共に理解しよう」をテーマに、プログラミンごとは何か、プログラミングによって何ができて、どういうことが可能になるのかについて分かりやすく解説します。
この記事の目次
プログラミングとはモノを動かす「指示」をコンピューターに伝えること
プログラミングとは、コンピューターにどう動けばいいか指示を伝えることです。コンピューター自身を動かすこともありますし、コンピューターを経由してさまざまなモノを動かすこともあります。
昨今話題のAIはひとまずおいて、コンピューターは基本的には人からの指示がなければ動きません。またその指示も、コンピューターは突き詰めると数値しか理解できませんので、0か1かのような明確なものである必要があります。
人間であれば、「このあいだのアレ、いい感じにやっておいて」といった曖昧な指示でも、共有する記憶やその時の状況、声の調子や表情など、さまざまな情報を統合して判断することで、正確にその意図を汲んで指示を実行することができます(ちゃんと伝わっていなかった、ということもしばしばありますが)。
ところがコンピューターの場合、「このあいだとは何月何日の何時何分のことか?」「アレとは具体的に何か?」「いい感じでとは、数値で言うとどのレベルまでか?」といった具合に、指示の内容を完璧に理解するまで動くことができません。
プログラマーとは、そういう便利だけどあまり融通の効かないコンピューターの特性を理解し、彼らが完璧に内容を理解して正しく行動できるように、疑問の余地のない細かな指示をコンピューターが理解できる言葉で伝えることなのです。
プログラミング言語というもの
「コンピューターが理解できる言葉」というフレーズが出てきたので、少し脇道にそれます。
コンピューターは0か1かの明確なものしか理解できません。従って古い時代のプログラマーは、コンピューターに指示を与える際、文字通り0と1の2進法の組み合わせのみでそれを伝えていました。
しかしこれでは、一部の突出した才能や知識を持つ人でなければプログラミンを行えず、今のように世界中にプログラムがあふれるということにはならなかったでしょう。
そうした中、1950年代以降、人間が理解できる記号や規則でプログラミングを行えるようにとプログラミング言語なるものが誕生し、今もそれは種類を増やしつつ進化と改良を続けています。
プログラムで動いているものには何がある?
コンピューターにコンピューターが理解できるような正確な指示を伝えることがプログラミングであると説明しましたが、それでは実際にプログラムで動いているものにはどのようなものがあるでしょうか。百聞は一見にしかずということで、いくつか具体例を紹介します。
Webサイト
皆さんがスマホなどで見ているWebサイトの多くは、プログラミング言語(主にHTML、CSS、JavaScriptなど)を使用して構築されています。
Webサイトは、静的なコンテンツや情報を提供するために設計されています。情報の閲覧や参照が主な目的で、ブログやニュースサイト、お店や企業のホームページなどがこれにあたります。
Webサイトが表示される仕組み
Webサイトがお手持ちのパソコンやスマホで表示されるためには、以下のようなプロセスが必要になります。
たとえばGoogleで検索して表示されたお店のホームページを見ようとスマホの画面をタップしたとします。
すると、インターネット上のサーバーにリクエストが送信されます。サーバーは要求されたそのお店のホームページを表示させるためのデータを送り返し、それがパソコンやスマホで表示されます。
仕組みは簡単ですが、これを実現するためには、いくつか異なるプログラムが動作する必要があります。
まず、あなたのリクエスト(この場合は画面タップ)を受け付け、サーバーにリクエストを送信し、送られてきたデータを再構築してホームページを表示させるWebブラウザ(代表的なものにGoogle Chrome、Safari、Microsoft Edge などがあります)が必要です。詳細は後述しますが、これもプログラムで動いています。
ブラウザからのリクエストに応えて格納したデータを送り返すサーバーもプログラムで動いています。
サーバーが送り返すホームページを表示させるためのデータに、Webサイトのプログラムが含まれます。プログラムと同時に画像などのファイルも送られてきます。
ブラウザという仲介者とサーバーという保管所を使うことで、データをいちいちダウンロードする必要もなく、パソコンやスマホでサクサクと快適なサイト閲覧が可能になるわけです。
アプリケーション
アプリケーションはコンピューター上で実行されるソフトウェアの一種です。スマートフォンやパソコン、タブレットなどのデバイス上で動作し、ユーザーが操作して利用します。いわゆるスマホのアプリといえば皆さんも聞きなじみがあるでしょう。
アプリケーションにはさまざまな種類があります。例えば、先ほどのWebブラウザもそうですし、Gmailなどのメールクライアント、SNS、ゲーム、音楽ストリーミングアプリ、写真編集ソフト、ビジネスアプリなどがあります。
アプリケーションは、ユーザーが特定の目的を達成するために使用されるものです。プログラムの仕組みとしては、一般的にユーザー入力、イベント処理、データの処理、処理の実行、結果の表示、といった流れで動作します。
アプリケーションは、ユーザーの入力やデータの状態に基づいて、必要な処理を実行します。これには、計算、条件分岐、ループなどのプログラミングの概念が含まれます。
組み込みシステム
組み込みシステムは、特定の機能を持つ電子機器や機械に内蔵されたコンピューターシステムのことです。一般的なパソコンやスマホとは異なり、特定の目的やタスクに焦点を当てて設計されています。
組み込みシステムは、さまざまな産業分野で広く利用されています。自動車、家電製品、医療機器、工場の制御システム、航空機、家庭用ロボット、さらには家庭用の電子玩具など、さまざまな製品に組み込まれています。
組み込みシステムでは、入力された情報やセンサーによって収集されたデータを適切に処理し、制御信号を生成して物理的な機器を動かすところが特徴的です。
人工知能と機械学習
人工知能(AI)のプログラムは、コンピューターシステムに人間の知能を模倣させるためのプログラムです。データを分析し、パターンを識別し、人間が自然とそうしているような、問題を解決するためのアルゴリズムやパターンも含まれます。
機械学習とは、AIがデータからパターンを学習し、それを利用してタスクを実行する方法です。さまざまな機械学習モデルがありますが、たとえばニューラルネットワークは、人間の神経細胞の仕組みに基づいて構築された機械学習モデルで、画像認識、自然言語処理、音声認識などのタスクで広く使用されています。自然言語処理(NLP)は、コンピューターが人間の言語を理解し、処理するための技術です。文章の意味を理解し、文章の生成、機械翻訳、感情分析などのタスクを実行するために使用されます。
プログラミングの方法
プログラミングの方法についても簡単に説明します。プログラミングは一般的に以下の手順で行われます。
問題の定義(ていぎ)
プログラミングの最初のステップは、解決すべき問題を明確に定義することです。何が問題なのか、何を達成したいのか、そのためにはどのような機能が必要なのかを整理して把握します。
アルゴリズムの設計
問題が定義されたら、それを解決するためのアルゴリズムを設計します。アルゴリズムとは、ある問題を解決するための手順や手法のことです。ある入力に対して望ましい出力を生成するための手順や計算方法の一連の手順を指します。
例えば、ソートアルゴリズムは、与えられたデータの要素を順序通りに並べ替えるための手順です。探索アルゴリズムは、ある条件に合致する要素を見つけるためにデータを探索する手順です。どちらも「並び替え」や「検索」という機能で皆さんも普段からなじみがあるでしょう。
コーディング
アルゴリズムが設計されたら、そのアルゴリズムをプログラミング言語で実装します。プログラミング言語を使用して、アルゴリズムをコンピュータが理解できる形式に変換するわけです。この役割を担うのが、一般的にプログラマーと呼ばれる職種の人たちです。
テスト
プログラムを書いたら、それをテストして機能を確認します。実際に入力や操作を行い、システムが設計通りに動作するかを確認します。
デバッグ
テスト中に問題が発生した場合、それらの問題を修正する必要があります。デバッグは、プログラム内のエラーやバグを特定し、修正するプロセスです。
設計通りにシステムを作っても、すべてが想定通りに動くとは限りません。特に数人がかりで数ヶ月かけて作るような大きなシステムの場合、エラーやバグの数も多くなる傾向があり、デバッグの作業数が膨れ上がることもあります。
デプロイメント
プログラムがテストされ、デバッグされ、最適化された後、それを実際の環境にデプロイして使用します。
デプロイとは、ソフトウェアやアプリケーションを実際の環境に展開して動作可能な状態にすることを指します。サーバーやデバイスなどの目的の環境に配置し、それをユーザーが利用できるようにするプロセスです。
プログラミング的思考とは具体的にどのようなものか
ここまでプログラミングとは何かについて解説してきましたが、必修化された小学校のプログラミング学習において、いきなりプログラミング言語を用いて高度なプログラムを作るわけではありません。
子どものプログラミング学習においては、「プログラミング的思考」を身につけることが主な目的とされています。
子どもがプログラミングを学ぶことで身につくプログラミング的思考には、一般的に以下のような要素・強みが含まれます。
問題解決能力
プログラミングでは、コンピューターに具体的な手順を伝える必要があります。そのためプログラミングを学ぶことで、子どもは問題を細かいステップに分解し、それらのステップを論理的に解決する能力を身につけます。
時代が進化するなか、親が知らない新しい問題に直面することになる子どもたちにとって、問題を小さく分解して解決しやすくするという具体的なテクニックを学ぶことは、プログラミンという枠にとどまらず、生きるための知恵として大いに子どもを助けることになるでしょう。
論理的思考力
論理的な思考力も、言うまでもなくプログラミングを学ぶことで子どもが身に付けやすいプログラミング的思考の1つです。プログラミングでは、コンピューターに命令を伝える際に論理的思考が必要です。そもそも論理的な指示でなければコンピューターが受けつかないからです。
子どもは、条件分岐や反復処理などのプログラミングに必要な基本的な論理構造をプログラミング学習によって自然と学び、直面する具体的な問題解決に応用します。
創造性と発想力
プログラミングを通じて、子どもは創造的な解決策を見つける能力を育てます。プログラミングの世界では、問題に対してさまざまなアプローチを試すことができます。プログラミングの面白いところは、それがパソコン一台あればできてしまうところです。子どもは、自分のアイデアを形にするためのプログラムを作成することで、創造性と発想力を伸ばすことができます。
修正能力
上でも説明しましたが、プログラミングをしていると、バグやエラーが発生することがよくあります。テストやデバッグの過程において、子どもはバグを見つけて修正するためのデバッグ能力を磨きます。これは日常の生活においても応用可能で、問題が発生したときに冷静に対処し、原因を特定して修正する方法を学び取ります。
自己表現と自信
プログラミングを通じて、子どもたちは自分のアイデアや創造物を作成する楽しさを味わいます。パソコン以外に道具はいらず、たったひとりでシステムを作り上げることも可能です。成功体験を積み重ねることで、子どもたちは自信をつけ、自己表現の手段としてプログラミングを活用することができます。
まとめ:プログラミングの今と未来
現在のプログラミングは、コンピューターやスマートフォンなどのデバイスを制御し、さまざまなソフトウェアやアプリケーションを作成するための技術です。Web開発、アプリケーション開発、データ解析、人工知能、ロボティクスなどの分野で広く活用されています。
将来的には、プログラミングの重要性はさらに高まります。人工知能や機械学習の発展により、データサイエンスやAIエンジニアリングなどの分野での需要が増加すると予想されています。また、クラウドコンピューティングやブロックチェーン技術などの新たなテクノロジーの普及に伴い、それらを活用するためのプログラミングスキルもますます求められるでしょう。自動化やロボット工学、仮想現実、拡張現実などの分野でも、プログラミングは重要な役割を果たすことが期待されています。
子どもがプログラミングを学習するさまざまなメリットを保護者目線で解説
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