Scratchは意味ない? テキストプログラミングとの違いやメリット
Scratchはプログラミング学習として意味がないと言われることがあります。Scratchをやるくらいなら、最初からテキストのプログラミング言語を学んだ方が良いといった意見です。では、本当にScratchをやることは無意味なのでしょうか?
この記事の目次
Scratchとは
Scratchとは、ビジュアルプログラミング言語と呼ばれる視覚的、簡易的にプログラミングができるプログラミング言語、もしくはプログラミングツールです。テキストのプログラミング言語の場合はコードを覚えるか調べながら記述していく必要がありますが、Scratchの場合テキストを書く必要がありません。
あらかじめパーツが用意されているので、このパーツを組み合わせていくことで処理を実装できます。つまりテキストのプログラミングだと書かなければならないコードが、あらかじめパズルのピースやブロックのような形で用意されているということです。そのため、Scratchはよくパズルのピースやブロックのパーツにたとえられます。
Scratchは意味がないと言われる理由
Scratchはテキストを書く必要がなく、パズルやブロックを組み合わてプログラミングができます。簡単にプログラミングできるScratchですが、なぜ意味がないと言われるのでしょうか。
複雑な処理を実装できないから
Scratchはあらかじめ用意されたパーツを組み合わせることしかできません。そしてテキストのプログラミングに比べると、複雑なパーツが用意されているわけではありません。たとえば、条件分岐やループなどの基本ロジックはScratchでも簡単に実装可能です。
しかし、たとえばフレームワークやライブラリの機能を使ってWebアプリケーションのサーバーサイドを作り込む、といったことは困難です。Scratchはあくまでもプログラミングの基本を実装できる入り口的なものと言えるでしょう。
仕事での需要はない
テキストでのプログラミングスキルを身に付けると、プログラマーとして仕事ができます。簡単なコードが書けるレベルでは仕事にするのは難しいですが、設計の考え方も身に付けてシステムを構築できるようになると、プログラマーとして仕事を受けられるようになります。
しかし、Scratchはある程度のスキルを身に付けても本格的なシステム開発はできません。あくまでも、趣味や遊びの範疇と言えます。Scratchでも驚くような機能性の高いシステムを構築している事例はありますが、それでもたとえば企業が業務用で使用するようなシステムと比較すると、趣味や遊びとして高度なシステムという状況です。
プログラミングの重要な概念が身に付かない
Scratchを扱うことで、繰り返し、条件分岐、ものを命令通りに動かす、判定を行う、といったプログラミングの基本処理、概念を学ぶことはできます。しかし、処理を複雑に積み重ねるようなことはできません。
具体的には、オブジェクト指向のように処理のまとまりを使い回したり、関数プログラミングのように関数を作って呼び出すようなことはできません。処理をひとまとめにして使い回すことはプログラミングの重要な概念です。
またフレームワークやライブラリと呼ばれるプログラミング環境の土台のようなものがあるのですが、Scratchにはそれがありません。フレームワークやライブラリを使用すれば、自分で実装しなくても複雑な機能を利用できます。
たとえば検索フォームに入力して検索する、時刻を取得する、配列に値を格納する、といった処理はあらかじめ用意されています。Scratchではこれらの処理を実装できないので、本格的なプログラミングはできません。
本当にScratchは意味ないのか
以上のように、Scratchが意味ないと言われるのには一理あります。Scratchではテキストプログラミングのような本格的なプログラミング学習が難しいのは事実です。しかし、それでもScratchが意味ないとは言えないでしょう。
なぜなら、プログラミング経験がまったくない子どもなどが簡単なプログラミングから学ぶにはScratchはもってこいだからです。むしろテキストプログラミングよりも取っつきやすいという点では優れています。
すでにある程度プログラミング経験がある人や、早くプログラミングスキルを習得して就職に活かしたい人などは、Scratchを選ぶべきではないでしょう。まったくの無意味とまでは言えなくても、目的に対して明らかに遠回りになる可能性が高いです。
明確な目的がある場合、最短ルートを目指す場合、すでにある程度のプログラミングスキルがある場合などは、Scratchではなくテキストプログラミングを本格的に学ぶべきです。しかし、時間に余裕があって一歩ずつ確実にプログラミングを学びたい人や、遊びから始めたい子どもにはむしろScratchはおすすめできるプログラミング言語、プログラミングツールと言えます。
Scratchで身に付くこと
Scratchが意味ないと言われるのには一理あるものの、プログラミング学習には役立つということでした。そして、特にタイピングなどに慣れていない子どもには、テキストプログラミングよりもむしろScratchはおすすめです。以下、Scratchをおすすめする理由を紹介します。
手軽にプログラミング思考を学べる
Scratchはとにかく手軽にプログラミングを始めるという点では優れています。テキストプログラミングだと子どもにとっては何を書いているのかよくわからず、楽しめない可能性が高いでしょう。タイピングができないと入力にも時間がかかるので、嫌になって挫折してしまう可能性が高いです。
その点Scratchなら遊び感覚で手軽にプログラミング思考を学べます。プログラミング思考とは、順次、条件分岐、ループといった基本アルゴリズムや、処理を実行すると画面が動くという基本的なことを指しています。
やり込めばある程度のシステムを作れる
Scratchではテキストプログラミングほど高度なシステムは構築できませんが、たとえばそれなりに楽しめるゲームなどを作れます。Scratchで作られたゲームを無料でプレイすることもできるので、試してみると良いでしょう。遊びながらやり込んでいくことで、プログラミング思考、設計能力が高まっていきます。
テキストプログラミングへの移行がスムーズ
Scratchによってプログラミングの考え方が身に付いていれば、テキストプログラミングへの移行がスムーズです。なぜなら、Scratchでやっていたことをテキストプログラミングのルールに合わせて記述していくだけだからです。
コードのルールを把握することやタイピングに慣れることにはある程度労力がかかりますが、慣れればScratchの経験がある分設計を自分で考えられるので手が止まりません。テキストプログラミングで簡易的なシステムが作れるようになれば、そこからさらにScratchではできなかったようなシステムを作れるようにステップアップしていけるでしょう。
Scratchでプログラミングを始めよう
Scratchでテキストプログラミングと同じレベルのプログラミングスキルを身に付けることはできませんが、プログラミングの入り口としては優れています。プログラミングに重要なプログラミング思考や簡単な設計スキルが身に付くからです。
子どもがプログラミングをやりたがっている、もしくは親がやらせたいと考えている、といった場合、まずは気軽にScratchを試してみると良いでしょう。
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